【第9回】RBIについて

1.RBIの概念

RBIは、Risk-Based Inspection(リスク基準型検査)の略語で、設備損傷などのリスクの大きさを基準として検査計画を立案し、設備の連続運転を拡大することや検査費用の削減を目的とする評価手法である。RBIはAPI(American Petroleum Institute) でAPI 581として標準化されている。 API 581では、定性的RBIと定量的RBIの進め方や被害の大きさの査定手順などが規定されている。

RBIの対象は、圧力容器などの静機器や配管である。回転機や調節弁などには、以前解説したRCM(Reliability-Centered Maintenance:信頼性中心保全)が適用される。

RBIでは、リスクの大きさを損傷発生の可能性と損傷が発生したときの被害の影響度によって定義する。この定義に基き、リスクが大きいとされた設備の部位に対し、そのリスクを低減する検査計画と検査方法を立案し、検査を実施する。このリスク低減のイメージを図1.1に示す。

図1.1 リスクの大きさの定義と低減のイメージ

図1.1において、縦軸は、設備の腐食や割れなどの損傷発生の可能性(POF:Probability of Failure)を示し、横軸は損傷の発生に伴う被害の影響度(COF:Consequence of Failure)を示す。
高リスクの設備や部位は図1.1の右上にプロットされるので、受容される範囲までリスクを低減する手段を検討する。低減手段としては、検査時期や検査方法の変更、設備の材料変更を行うこと、運転条件の緩和などが挙げられる。

2.RBI実施効果

RBIを実施するメリットは、まず、リスクが高い機器、配管箇所などが明らかになり、検査を行うグループでその事実が共有されることである。この事実の共有化により、検査計画の立案根拠が明確になり、どの保全や検査を重点的に実施するのか、予算配分をどうするのかといった判断の根拠が明文化される。明文化により、機器の構造知識の共有や信頼性・稼働率向上が期待できる。

次に、RBIを実施する場合、検査部門のみならず、運転部門もRBI検討に参加するので、運転部門が検査の観点からの機器の位置づけを確認することができる。したがって、運転部門の検査への関心を高め、施設の運転方法や機器の使用法なども、運転部門から改良されるきっかけを与えることにもなる。

最後に重要なことであるが、根拠に基づく検査計画立案や複数部門の衆知に基づく検査の実施などにより、検査業務コストの削減、検査方法や自体の最適化も実現が可能となる。ただし、初期導入時には未検査箇所が抽出され、検査ボリュームアップによる検査コストが増加する傾向がある。

3.RBI実施手順

RBIの概略実施手順を図3.1に示す。
前述のように、機器および配管の損傷発生の可能性と損傷が発生したときの被害の影響度から、対象の機器および配管のリスクを定義し、高リスクと判断された機器および配管に対して、リスク低減方策を適用する。低減方策を盛り込んだ検査計画を作成し、検査を実施することにより、期待するRBI導入効果を得る。

図3.1 RBI概略実施手順

図3.2と表3.1に、具体的なRBIの実施手順を示す。

図3.2 RBI概略手順イメージ

表3.1 RBIの実施概略手順

コロージョン・ループ(corrosion loop)について
コロージョン・ループは、腐食などによる破損の範囲を特定する考え方であり、設備・機器・配管の材質、扱うプロセス流体の性質や流れる速度、温度、圧力などが同じと考えられる範囲の設備・機器・配管をまとめて「ループ」とする。あるループに属する設備・機器・配管は腐食を含めた損傷が同じように発生すると考える。

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