【第7回】PIC/S GDP 対応 で必要となるCSV その3 (後編)

【第4回】 PIC/S GDP 対応で必要となるCSV その2では、コンピュータ化システムに対するバリデーション、データ保全やセキュリティーに対する要件について説明させて頂きました。
今回の『その3』では、医薬品の流通に関わる情報システムがPIC/S GDPへの対応上、備える必要のある機能について2回に分けて説明します。

PIC/S GDPでコンピュータ化システムが備えるべき機能 (後編)

5.5.4 Stock should be rotated according to the first expiry, first out (FEFO) principle. Exceptions should be documented.
製品在庫は先入れ先出し(FEFO)の原則に従って扱うこと。例外については文書化すること。

【解説】
この記述は、『5.5 STORAGE(保管)』にある記述です。コンピュータ化システムでの対応では、『先入れ先出し(FEFO)の原則』に反した出荷をしようとした場合にエラーや警告を発報し、これらの操作を事情によって敢えて行う場合にはその理由を記入登録して報告書を作成する機能等が考えられます。


5.5.6 Medicinal products that are nearing their expiry date/shelf life should be withdrawn immediately from saleable stock.
使用期限/保存期限が近づいている製品は直ちに販売可能な在庫から回収すること。

【解説】
この記述も、『5.5 STORAGE(保管)』にある記述です。コンピュータ化システムでの対応では、期限が近づいた製品をリストアップして帳票を出力する機能、リストアップした製品を回収対象として登録する機能、回収対象となった製品を別エリアへ移動させる為の『移動指示書』の発行機能などが考えられます。


5.6.1 Medicinal products intended for destruction should be appropriately identified, held separately and handled in accordance with a written procedure.
廃棄が予定された医薬品は適切に識別し、文書化された手順に従って別個に保管すること。
5.6.3 Records of all destroyed medicinal products should be retained for a defined period.
廃棄する全ての医薬品の記録は、定められた期間保持すること。

【解説】
この記述は、5.6.1と5.6.3は共に『5.6 DESTRUCTION OF OBSOLETE GOODS(期限切れ製品の廃棄)』にある記述です。5.6.1には『廃棄が予定された医薬品は適切に識別し』と記述されていますがこの『識別』にはラベルを貼るとか保管エリアを別にする等の物体(モノ)に対しての識別もありますが、今日の情報化が進んだ倉庫においては情報やデータに対する『識別』も重要です。5.6.3では廃棄記録の保存について記述されています。従ってコンピュータ化システムにおける対応としては倉庫管理システム等に『廃棄処理』機能を設けて、製品の情報『商品コード、有効期限、ロット番号 等』に対する『廃棄』を行って廃棄対象の製品をデータの上でも『廃棄状態』として保存し、これらの製品が誤って出荷されたり、非正規に流通してしまうことを情報レベルでも防止する必要が有ります。


6.5.5 Recall operations should be capable of being initiated promptly and at any time.
回収作業は、いつでも直ちに開始できること。
【解説】
回収作業をいつでも直ちに開始するには、回収対象の製品を情報『商品コード、有効期限、ロット番号 等』で絞り込んで検索し、それらの製品を回収する為の指示書/リスト等をクオリティーインシデント毎に発行する等の機能が必要です。回収作業中は当該製品のステータスを『回収中』として登録してこれらの製品が誤って出荷されないようにし、製品の回収後にはモノとしての製品と情報としての製品を突き合わせ『情物一致』を確認した上で当該製品のステータスを『回収済』にする等の機能が必要になるものと考えられます。


6.5.7 Any recall operation should be recorded at the time it is carried out. Records should be made readily available to the competent authorities.
全ての回収作業は実施と同時に記録すること。記録は規制当局が容易に入手できるように作成すること。
【解説】
6.5.5の【解説】に書いたように情報システムが対応していれば、クオリティーインシデント毎の回収対象製品のステータスが『回収済』になった状態の記録が情報システム上のデータとして記録され保存されます。

6.5.8 The distribution records should be readily accessible to the person(s) responsible for the recall, and should contain sufficient information on distributors and directly supplied customers (with addresses, phone and/or fax numbers inside and outside working hours, batch numbers as required by national legislation and quantities delivered), including those for exported products and medicinal product samples (if permitted by national legislation).
(回収対象製品の)配送記録は回収責任者が直ちにアクセスできるようにすること。
(配送記録)には配送業者と直接の納入先である顧客の十分な情報(住所,営業時間内と時間外の電話番号/FAX番号,規制当局が要求する場合はバッチ番号と配送した数量)が含まれていること。これら(配送記録への対応を行う対象)には輸出品と医薬品サンプル(規制当局の許可が有る場合)を含む。

【解説】
通常の倉庫管理システムや販売管理システムには、出荷記録に配送業者や納入先の顧客のコードが含まれており、システムの配送業者マスタや顧客マスタには連絡先(住所,営業時間内と時間外の電話番号/FAX番号)が含まれているハズです。この6.5.8章の要求事項は『出荷処理』,『配送業者マスタ』及び『顧客マスタ』にて登録したデータを回収対象製品を商品コード、製品ロット番号/バッチ番号 等で絞り込んで検索して回収リストを作成し、既に出荷済の製品の回収作業に使用する等の対応が考えられます。


予定では今回の【第7回】で『PIC/S GDP 対応 で必要となるCSV』を終了する予定でしたが、倉庫管理システムや販売システム等のコンピュータ化システムの多くがパッケージソフトウェアもしくはクラウドサービスによって提供されることを考慮して、『PIC/S GDP 対応で必要となるCSV その4』(パッケージソフトウェアでの PIC/S GDP)を記載させていただくことと致します。

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