【第5回】設計時適格性評価(DQ)とトレーサビリティマトリクス

はじめに

設計時適格性評価(DQ)は、コンピュータ化システム適正管理ガイドライン 5.2項に「検証責任者は、要求仕様書に記載された要求事項が、機能仕様書、設計仕様書等に正しく反映されていることを確認するため設計時適格性評価を実施する。」と規定されています。

CSV遂行に際して、特にソフトウェアカテゴリ分類が5のコンピュータ化システムにおいて、
  • 設計時適格性評価(DQ)は、どのように実施するのか
  • 設計時適格性評価(DQ)は、何を記録に残すのか
  • 設計時適格性評価(DQ)は、何時実施するのか

といった質問を受けることがあります。

そこで、本連載(第5回目)では、設計時適格性評価(DQ)について、その概要を整理します。

設計時適格性評価(DQ)の実施

設計時適格性評価(DQ)は、要求仕様書の要求事項が機能仕様書、設計仕様書に正しく反映されていることを検証します。検証作業は製造販売業者が実施する場合や、製造販売業者から依頼されサプライヤが実施する場合があります。

検証方法として、要求仕様書の項目番号を、機能仕様書、設計仕様書、フローチャート及び各種図面や図表に直接書き込む方法があります。生産設備等のCSVではよく見受けられます。
この方法でも設計時適格性評価(DQ)の要件は満たしますが、機能仕様書、設計仕様書等に変更が発生した場合、手間がかかるデメリットがあります。

他の検証方法として「トレーサビリティマトリクス」を作成し、要求事項が機能仕様書等に反映されていることを示す方法があります。次項にトレーサビリティマトリクスについて記載します。

トレーサビリティマトリクス

トレーサビリティマトリクスは、以下に示すように要求仕様書の要件毎(項目番号)に、機能仕様書、設計仕様書が対応している項目(項目番号を全て記入)を記載します。

URS FS DS IQ OQ PQ
項番 標題 項番 テストNo. テストNo. テストNo.
           


このトレーサビリティマトリクスを設計時適格性評価(DQ)報告書に添付します。

さらに、各検証段階(IQ、OQ、PQ)で要件毎(項目番号)に、各検証(IQ、OQ、PQ)のテスト番号を都度記入することで、各検証が要件を満たしていることを確認できます。 最終的にCSV報告書に添付し、作成したコンピュータ化システムが要求仕様を満たしていることが一目できます。

設計時適格性評価(DQ)の実施時期

設計時適格性評価(DQ)の実施時期については、いくつかの経験をしています。ソフトウェアカテゴリが「5」で、システムテスト、工場出荷試験(FAT)、据付時適格性評価(IQ)、運転時適格性評価(OQ)及び性能適格性評価(PQ)をこの順で実施する場合、設計時適格性評価(DQ)は据付時適格性評価(IQ)までに実施すれば良いといったケースもありました。

各社で考え方はあるようですが、機能仕様書(FS)の発行と同時に設計時適格性評価(DQ)報告書を発行することを推奨しています。なお、機能仕様書(FS)はシステムテスト実施時前の発行としています。

機能仕様書(FS)や設計仕様書(DS)への変更対応

システムテスト、工場出荷試験(FAT)及び各適格性評価(IQ、OQ、PQ)で不具合が生じ、その対応が機能仕様書(FS)や設計仕様書(DS)に遡及した際は、再度、設計時適格性評価(DQ)を実施し、設計時適格性評価(DQ)報告書も改訂して発行することを推奨しています。

機能仕様書(FS)や設計仕様書(DS)の変更が要求仕様書のトレースに影響が無いため設計時適格性評価(DQ)は実施しなくてもよいのでは、といった話を聞くことがあります。
しかしながら、要求仕様書のトレースに影響が無い旨を明記した設計時適格性評価(DQ)報告書(改訂版)を提出し記録として残すべきと考えています。

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