【第4回】PIC/S GDP 対応 で必要となるCSV その2

【第2回】 PIC/S GDP 対応で必要となるCSVの続編です。

GDPで対象となるコンピュータ化システム

GDPで対象となるコンピュータ化システムは流通の各段階に存在します。 その代表的な例を以下の表に示します。


一覧表にしてみるとGDPについても様々なコンピュータ化システムがあることが解ります。

PIC/S GDPでコンピュータ化システムに求められるものとは?

『【第2回】 PIC/S GDP 対応で必要となるCSV』にて触れた、PIC/S GDPのガイドライン『PIC/S GUIDE TO GOOD DISTRIBUTION PRACTICE FOR MEDICINAL PRODUCTS © PIC/S June 2014』には、3.5章『3.5 COMPUTERISED SYSTEMS』にコンピュータ化システムと電子記録についての要件が記述されています。
この記述は短いものなので以下に全文と筆者の拙訳を載せることとします。訳文の内容および品質についての保証はいたしかねますが、3.5章についての大意を把握するには問題無いと思います。

3.5.1 Before a computerized system is brought into use, it should be demonstrated, through appropriate validation or verification studies, that the system is capable of achieving the desired results accurately, consistently and reproducibly.
コンピュータシステムは使用する前に適切なバリデーションまたは調査を行い、対象システムに要求される処理結果の正確性、一貫性、再現性について検証しその性能を保証すること。

3.5.2 A written, detailed description of the system should be available (including diagrams where appropriate). This should be kept up to date. The document should describe principles, objectives, security measures, system scope and main features, how the computerized system is used and the way it interacts with other systems.
システムを詳細に記述した文書(適切な図を含んだ)が参照可能であること。記述は最新の状態に維持されていること。
文書は原則、目的、セキュリティー方式、システムの範囲と主たる機能、システムの操作方法、他のシステムとの連携について解説していること。

3.5.3 Data should only be entered into the computerized system or amended by persons authorized to do so.
データはコンピュータシステム化システムに入力するのみとする(修正、変更ができない仕様にする等)か、権限を持った担当者のみによって修正されること。

3.5.4 Data should be secured by physical or electronic means and protected against accidental or unauthorized modifications. Stored data should be checked periodically for accessibility. Data should be protected by backing up at regular intervals. Backup data should be retained for the period stated in national legislation but at least 5 years at a separate and secure location.
データは物理的または電子的手段によって保護され、障害や承認されていない修正からから保護されていること。
保存されたデータは定期的にアクセス可能であることをチェックすること。
データは一定間隔のバックアップによって保護されること。
バックアップデータは国によって定められた期間保持されること、(国による保存期間の規定が無い場合でも)最低5年は隔離された安全な場所で保存すること。

3.5.5 Procedures to be followed if the system fails or breaks down should be defined. This should include systems for the restoration of data.
システム障害またはシステムが故障した場合に従うべき対応手順を定めておくこと。
この手順にはシステムへのデータの復元方法を含めること。

3.5.1はCSVの必要性、3.5.2ではシステム仕様の文書化、3.5.3はデータセキュリティー、3.5.4はデータ保全、3.5.5 は障害対応です。

3.5.1と3.5.2は我が国のCSVガイドラインである『厚生労働省 医薬品・医薬部外品製造販売業者等におけるコンピュータ化システム適正管理ガイドライン 平成22年10月21日』(以下『CSVガイドライン』と記します)通りのバリデーションを行えば、3.5.1を満たすことになり、3.5.2については『CSVガイドライン』にて機能仕様書と設計仕様書を作成することになりますので要求事項を満たしていることになります。

3.5.3と3.5.4はデータセキュリティーやデータ保全に関する事項であり、その記述内容と倉庫管理システムや配送管理システムに登録される大量のデータを勘案すると、電子記録と電子署名(ER/ES)を前提としていると考えることができます。何故かと言うと大量のデータを紙ベースで管理することには限界があるからです。
これらの要求事項は、我が国の『ER/ES指針』やアメリカの『21CFR Part11』の要求事項にも含まれていますので、これらの基準を満たしていれば、3.5.3と3.5.4の要求事項も満たしていると考えることができます。(但し、『ER/ES指針』にはデータの保存期間に対する記述は無いので、3.5.4 に記述されているデータの保存期間への対応には注意が必要です。)

3.5.5 については、我が国の『CSVガイドライン』では『6. 運用管理業務 6.1 運用管理に関する文書の作成 (7) 逸脱(システムトラブル)の管理』に規定されている内容に相当します。
従って、SOPに『CSVガイドライン』に示された障害発生時の対応手順が記載されていれば、3.5.5の要求事項も満たしていると考えてよいと思われます。

この様に『PIC/S GDPのガイドライン』の3.5章『3.5 COMPUTERISED SYSTEMS』について個々に解釈してみると、我が国の『CSVガイドライン』や『ER/ES指針』との矛盾はなく、親和性が有るものと考えられます。

予定では【第2回】と今回の【第4回】で『PIC/S GDP 対応 で必要となるCSV』を終了する予定でしたが、倉庫管理システムや配送管理システム等のコンピュータ化システムがPIC/S GDP対応でどの様な機能を求められるかを書く為に、『第6回 CSV Web ミニ講座』に『PIC/S GDP 対応で必要となるCSV その3』を記載させていただくことといたします。

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