【第3回】電子記録/電子署名(ER/ES)、Part11について

はじめに

近年、コンピュータ化システムバリデーション(以下、CSV)の問合せや支援依頼と同時に、

  • 製薬企業及び医療機器メーカから、該当機器について「Part11対応するように」
  • サプライヤから、「Part11対応を求められている」
といった主旨のご相談が増えています。そこで、本連載(第3回目)では、電子記録/電子署名(ER/ES)やPart11について、その概要を整理します。

電子記録/電子署名(ER/ES)、Part11とはなにか

紙を原本とする場合は、その内容を変更しても痕跡が残ります。
しかし、電子的な記録は、変更の痕跡が残らないため正しい記録であることが証明しにくくなります。
電子的な署名も電子的記録と同様に正しい署名であることが証明しにくくなります。

そこで、電子記録及び電子署名を業務で使用する場合に守るべき要件が、3極(日米欧)でそれぞれ規定されています。電子記録及び電子署名に対する「信頼性の確保」が目的です。
これらが通称、電子記録/電子署名(ER/ES)、Part11と言われているものです。

3極(日米欧)の電子記録/電子署名に関する規制

3極(日米欧)それぞれの規制を簡単に以下に整理します。

1) 日本
・法律    : 電子署名法、e文書法
・厚生労働省 : 厚労省令第44号、厚労省ERES指針
※国内法令では電子記録を「電磁的記録」とよんでいます。

2) 米国
・21CFR Part11(連邦法第21章第11条)(CRF:Code of Federal Regulation)

3) EU
・EU-GMP Annex11 (PIC/S GMP Annex11)

電子記録/電子署名を一概に「Part11」と称する声を聞くことがあります。間違いではないでしょうが、対象となる製品(医薬品、医療機器)及びコンピュータ化システムの適用が日本国内だけの場合は、厚労省ERES指針に沿って、電子記録/電子署名の「信頼性を確保」することとなります。

厚生労働省のERES指針

「医薬品等の承認又は許可等に係る申請等における電磁的記録及び電子署名の利用について
(薬食発第0401022号 平成17年4月1日)」
※国内法令では電子記録を「電磁的記録」と称しています。本連載では以降電磁的記録と記します。

1) 電磁的記録(ER)について
電磁的記録(ER)に求められる要件は、その電磁的記録に対する真正性、見読性及び保存性の確保の3つに纏められます。
・真正性:電磁的記録が正確であり、作成、変更、削除の内容と責任が明確であること
     (監査証跡、バックアップ、セキュリティ 等)
・見読性:画面や帳票(紙)で電磁的記録の内容が確認できること
・保存性:定められた期間で真正性及び見読性が確保された状態で保存できること
参考)監査証跡(厚生労働省ERES指針での定義)
正確なタイム・スタンプ(コンピュータが自動的に刻印する日時)が付けられた一連の操作記録

2) 電子署名(ES)について
電子署名(ES)に求められる要件を以下に整理します。
・電子署名の管理・運用の手順が文書化され、適切に実施されていること
・電子署名は、各個人を特定できる唯一のものであること
・電子署名された電磁的記録には、署名に関する氏名、日時及び意味(作成、確認、
 承認)が明示されていること
・電子署名は、電磁記録とリンクして削除・コピー等が出来ないこと

CSVとのかかわりについて

厚生労働省ERES指針では「3.1 電磁的記録の管理方法」で以下が記されています。
「電磁的記録利用システムはコンピュータ・システム・バリデーションによりシステムの信頼性が確保されていることを前提とする。」

よって、CSVの実施時にER/ESの適用を検証して記録を残すことで、電磁的記録及び電子署名に対する「信頼性が確保」されます。

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